塾・児童相談所・カウンセリングをやらせる
そもそも私たちは子供に教育を厳しくやってきた(私は学校の先生だっただけによけいに)
息子はそれにこたえて小学生の間はずっと成績がよく、高いレベルの私立中学に入学できた。
しかし、中学に入ってからは急激に成績が下がり、部活もすぐ辞め、何事にもやる気がなくなっていった。
それでも、私たち夫婦は息子をどうにか勉強させようと、塾を通わせたり、通信講座をとらせたりした。
とにかくこの競争社会で生き延びる人間にするために、教育は絶対必要不可欠だった。
すべての人間の成功と幸福の源は高い教育にあると考えていた。
だから少しぐらい遊びがなくなっても、将来のために絶対教育は受けさせるべきと言うのが私たちにかえられた使命だと考えていた。
遊びはその後からいくらでもすればよい。
私たちは必死だったし、子供にエネルギーをつぎ込むのはいいことなのは間違いない。
立派な人間になるために避けては通れない道だと信じ込んでいた。
また私自身、そうやって育てられ、うまい具合にいったという体験もあったから、なおさらだ。
なにより 中学校の教師の息子が不登校だということは許せないことだった。
自分の信じてきた教育方針や育て方、しつけに泥をかけられたと感じたし、ショックだった。
私の生徒以上に息子が私の期待通りに育たなければならないという教育者としてのプライドもあった。
しかし、完全に息子の心が殻に閉じこもった。
とりあえずは学ばなければいけない、後れをとってはいけないと思い、今度は不登校児を積極的にとっている塾に通わせる。
みな不登校の子供たちばかりなら、息子もきっと通うだろう。
しかし、いやいや通っていたが、家に帰ったらずっと部屋に閉じこもったままだ。
その次には、不登校を預かるフリースクールに通わせる。
そこでもまわりとうまくやっていくことができず、さらに殻に閉じこもっていくのを見て、そこに不信感をもつ。
どこかいいところがあるはずだ。
どうしたら息子は学校に行ってくれるんだろう?
別のところにも通わせるが、何にも解決しなかった。
どれもこれも受け入れる施設の問題だとそのときは思っていた。
同時にそこの児童カウンセラーとの相性、そして実力不足だと感じる。
とてもじゃないが、うちの息子を安心して預けられる器量を持った人ではないと感じたし、その通りだった。
不登校の受け入れ施設に入れれば解決するという軽い考えだったのも確かだ。
しかし事態はもっと深刻で、もっとも別の問題だと気づくのはあとのことだった。
いつか子供が立ち直ると言うことはほとんどないと思う。
徹底的に甘えて、わがままで、自分勝手でどうしようもない。
現状にずるずるとはまりこみ、自ら向上心を持たなくなっていった。
妻と私の会話はほとんど不登校とひきこもりに費やされた。
私たちもすっかり心が病んでしまっていたのだ。

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01.私の長男が登校拒否児に
02.塾・児童相談所・カウンセリングをやらせる
03.子育て、しつけの方針転換を強いられる
04.学校生活と社会生活からはじかれる
05.息子の甘えと私たちの甘さ
06.非社会生活とダメ人間になっていくことの怖さ
07.子供が生きる屍となっていく
08.妻が深刻なノイローゼ(うつ状態)に
09.ひきこもり・ニート・ダメ人間へ一直線
10.薬物療法によるだるさ・眠気・一日中寝ているように
11.ついに部屋から一歩も出なくなる。完全な引きこもり
12.「死ね!」「消えろ!」 家族全員がノイローゼへ
13.無理矢理ひきこもる部屋に突入ス
14.不登校・引きこもりが解決しないことへの脱力感
15.とあるきっかけから…あるセラピストへ
16.一筋の希望から大きな大きな希望へ
17.本物のセラピスト、そして人間的な包容力
18.不登校、ひきこもりにうれしい驚きとすごい効果
19.息子がやる気になる・岩波先生への感謝と感激
20.不登校脱出へただ一つ言えること

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